未熟児で産まれたノラ猫
9月の終わり…昼夜の寒暖差が激しくなってきた頃、片手に載るほど小さなねこを見つけました。夕方5時頃、ノラ猫がたくさん生息している公園のベンチの下です。周りに母ねこは居らず、戻ってくる様子も全くありません。ボランティアの方が設置したらしい段ボールハウスの中で鳴いていたことから、ノラ猫として産まれたことは明らかでした。
大きな声で鳴く1匹と、弱々しく鳴く1匹、もう1匹はねこの形をしておらず、もちろん息もありませんでした。奇形として産まれたか、超超未熟児として産まれたか…辺りはすでに夕暮れを迎えており、気温はどんどん下がっていきます。彼らの母親がエサをもらっているボランティアさんと面識があるわけでもなく、次はいつボランティアさんが来るのかも不明です。 2匹をこのままここに放置することは、彼らの命が数時間中に無くなることを意味していました。
乳飲みの猫を育てた経験はありませんでしたが、目の前で失われていく命を見捨てることはできず、その場で連れ帰ることを決めました。
その時間でも開いている近隣の獣医さんを探し、急いで彼らを連れていきました。外傷などとりあえずの健康状態を診てもらい、あまりに小さな彼らにどう接すればよいのか、アドバイスを頂くためでした。
授乳が必要な子猫のお世話が必要になったとき…
色々探しても乳飲み猫の情報は少なかったため、同じような状況に陥った方のために少しでも情報を掲載します。
【保温】生まれたばかりの子猫は、母親の体温で暖を取り四六時中、母親の傍を離れません。大人の猫の平熱は38℃と高く、基本的には母親の肌の温度を再現してあげる必要があります。獣医師から推奨された簡単な方法は、湯たんぽでした。ペット用のものを購入してもよいですし、割れる危険性のないプラスチックの容器に、お湯を入れてあげることも有効です。ただ、湯たんぽを作る場合は、子猫の身体が直接容器に触れることがないよう、容器を布などで覆うことが必要です。(触れ続けると低温火傷を起こすため)湯たんぽ+電気毛布で、子猫の身体を温め続けました。
またペットヒーターなどで温める方法もあります。
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【授乳】本来は母猫の身体で温めてもらいながら、おなかがすいたら母猫のお乳を吸います。人工保育の場合はそれができないため、人間の乳児と同じように、数時間おきに授乳することになります。

1日あたりの頻度は生まれてからの日数で異なります。参照:ミルク飲みの子猫の育て方|必要な授乳回数とミルクの量 (lifeboat.or.jp)
1週間まで:6~8回(5~10CCずつ) 、1~2週間まで:4~8回(5~15CCずつ)、2~3週間まで:4~6回(5CC~飲めるだけ)
できるだけ長時間空いてしまうことがないよう、2-3時間おきなどなんとか時間を作り授乳します。そのほかに、子ねこはおなかがすくと鳴いて知らせてくれます。
生後3週間以降から徐々に減らし、離乳食へと移行していきます。
獣医さんで頂いたミルクと、シリンジ(注射器の針を無くしたもの。注射器のように少しずつ授乳させることができます。)を使い授乳していました。

哺乳瓶を使っても授乳が可能です。
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【排せつ】本来であれば、母ねこが排せつ器官の周りを舐めてあげることで、子ねこは気持ちよく排せつができます。人工保育の場合は、ティッシュなどの柔らかい紙や布をぬるま湯で湿らせ、トントンと優しく押してあげることで排せつが促されます。授乳の後や、子ねこが鳴いて知らせたときが、タイミングになります。
お世話の結果…
大人になることは叶いませんでした。目が開いたところを見てみたかった…成長したらどんな風に鳴くんだろう。どんな性格の子に育つんだろう。身体的にもかなりハードな授乳をこなしながら、希望に胸を膨らませていました。なんとか、助けてあげたかった…。

子ねこは80g未満で、未熟児と考えられます。死産したきょうだいが一緒に置き去りにされていたこと、母ねこが彼らを生み捨てたことなどから予測は立っていましたが、連れ帰った子たちの体重はわずか65g程度でした。通常、子ねこは人工保育の場合でも、ミルクを入れたシリンジや哺乳瓶に食いつくのだそうです。ただあの子たちは、適切な分量でミルクを作っているにも関わらず、ミルクを嫌がりました。おそらく、ミルクを飲むための器官すら未成熟で生まれたのかと。また、保護された時点で産後数時間~1日程度経過しており、9月末の乳飲み猫にとっては寒い気候で、保護時点で衰弱が進んでいたと考えられます。
もっと早く公園に行けていればよかった、ミルクを嫌がろうがなんだろうが無理矢理飲ませていればよかったんだろうか、もっともっとお金がかかってもいいから、違う病院も周り、セカンドオピニオンのようなものを得ていた方が良かったんだろうか、会社に無理を言って時間休ではなく、保育の期間ずっと1日中休みを取れば良かったんだろうか、授乳がつらいと思ったことがいけなかったんだろうか…彼らを失ってから数日間、そんな疑問が頭の中を駆け巡り、自分を責め続けました。
自分を責め続けた時に、周りの方が掛けてくださった言葉を掲載させてください。人工保育や、猫の介護や病気をすごく頑張っても、よい結果に結びつかなかった方々がここを訪れた時のために…
「貴方があの子たちを連れ帰らず置き去りにしていれば、寒い中で寂しく命を落とすだけだった。短い期間でも、温かい場所で命を終えられることができた。」「母親に捨てられ、生き物の温かさに触れることなく死んでいくはずだった。貴方に温かく守られて、きっとありがとうと言っていると思う。」「仕事もあったのに、昼夜関係なく頑張ったね。」etc..
成熟して健康に生まれた場合でも、ノラ猫の生存率は50%程度だそうです。未熟児だとさらに生存率は下がります。大人になれたとしても、ノラのままだと平均寿命は3年程度とも言われています。もしも子ねこを拾い育てることになり、上手くいかなかったとしてもどうか自分を責めないでください。違う種である人間が、自然の生き物の子どもを育てることがどんなに難しいか、痛感しました。同時に、街で元気に活動しているノラ猫、ノラから保護された猫に接するたび、目の前にいる命は厳しい競争を勝ち抜いて大人になった奇跡なのだと思えて、彼らへの見方が変わりました。
親に見捨てられ寒さに凍えながら死んでいくことが、人に拾われなかった時のあの子たちの運命だとしたら、あの子たちは何のために産まれてきたんだろう。生存競争に勝てないと生み捨てた親猫が悪いのか?そしてそれは自然の摂理だと、割り切るしかないのか?そう思った時、結局あの子たちも人間が作り出した理不尽の犠牲になったのだと思えるようになりました。人に捨てられて、あるいは避妊去勢を受けずに飼われていた猫が逃げ出して、あの子たちの祖先が生まれました。親猫が悪いのではなく、結局はノラ猫を作り出してしまった人間が悪いのだと…。
数日でも一生懸命この世に生まれ、命を全うしました。

猫を飼い続けられなくなってしまったとき
少し考えただけでも、やむを得ずねこを手放さなければいけない状況は多く想定できます。
家族に重度の猫アレルギーを発症した人が出た、猫を飼育できる人が病気になった、遠い国に海外転勤を命じられた、経済的にかなり困窮してしまった etc…
そんな状況に陥っても、どうか捨てることだけは控えてください。彼らねこの遠い祖先は、野生で生きていたかもしれません。でもいまの彼らは野生で生きていく術を知りません。野生に放っても、誰が教えてくれるわけでもありません。基本的には、人間の庇護下で生きることしかできません。
各自治体には、猫の保護活動を行っている団体が多くあります。各団体も余裕がない中、自助努力で活動を行っている側面があり、手放す理由について深く聞かれたり、否定的な意見を言われたりすることはあるかもしれません。しかし、それまで大事にかわいがってきた自分の子が、食に困って栄養も取れず、野生動物からの襲撃に晒されながら生きるよりは、よほど良いのではないのでしょうか…
各自治体の動物保護団体(民間)
【東京都】参照:東京都に登録された譲渡対象団体一覧 | 東京都動物愛護相談センター ワンニャンとうきょう (tokyo.lg.jp)
【大阪府】参照:【大阪府】犬の里親になれる譲渡会や保護施設をご紹介 | mofmo
【福岡県】参照:福岡県の保護猫施設・団体。運命の猫に出会うまでの流れ&譲渡条件 | Catchu きゃっちゅ (nekogohan-web.jp)
【北海道】参照:【ペット里親募集】NPO動物愛護団体&保健所情報|北海道 – DEAR PET (pet-platform.jp)